うつ病の症状とは

☆ ☆ うつ病の症状とは (通院までのステップ)☆ ☆

うつ病の初期症状などについては、当ブログの「◆精神・心の病―うつ病」にてご紹介しました。
では、実際に「うつ病」の可能性が高いと判断した場合、治療へのステップはどのようにしていったらよいでしょうか。家族に「うつ病の該当者がいる」という設定で、一緒に考えていきましょう。
まずは鬱病からの復職をケアする復職支援プログラムなどへの入所や、精神病院などの精神科医などに早期に相談をしましょう。

◆早期発見と早期治療が望ましい

うつ病は、早い段階で気づき、専門家の適切な指導を受ければ、回復に向かう病気です。
家族や同僚が、うつ病の初期に始まる「心と体のサイン」をとらえ、その変化に気を付けていれば、病気の早期発見につながります。本人はなかなか自覚できない、または、隠してしまう傾向にあるため、周りの人の観察がとても大事になってきます。

◆心の悲鳴を聞き取ってあげましょう
一般の病気では、数値として診断書に表示できます。病気と分かったら「盲腸」「インフルエンザ」とはっきりと数値に出ます。ですから、本人も自覚し、すぐ通院します。ほおっておいたら重症になり、場合によっては命にかかわることを、本人も、家族も、企業も十分にわかっているからです。
ところが、「うつ病」となるとどうでしょうか。「気持ちの落ち込み」は数値に表わすことができません。本人も家族も会社も、「病気で治療が必要である」と認めることが、まず困難なのです。
まず、うつ病は、ストレスで心が悲鳴を上げている「病気」であることを、家族が認め、受け入れてあげましょう。「よくあること」「すぐ治るだろう」「たんなる疲れだろう」と放置していると、治療のチャンスを逃し、どんどん悪くなっていきます。
大事なことは、「うつ病かもしれない」と気づいたら、以下のことに気を付けることです。
本人が「頑張りすぎて脳と心のエネルギーを使い果たした結果、うつ病になっている」のですから、「追いつめてしまう危険」があります。
突発的な自殺につながってしまう場合もあるということを、知っておいてください。

① 「なぜこんな病気になったのだろう」と原因探しをしない
② 「誰が悪いのだろうか、会社で何かあったのか」と犯人捜しをしない
③ 「お前の心が弱いからだ」と本人を責めない
④ 「頑張れ」「しっかりしろ」と無理な励ましをしない
⑤ 明るくなるようにと、無理に外出させたり、友人を呼んだりしない
他にも、いろいろとあります。まずは正しい知識といろんな情報を得ていく必要があります。

◆心の負担にならない思いの受け止め方
最近心から笑っていないようだ。以前楽しんでいたことが、心から楽しめていないようだ。(趣味)外見に構わなくなった。
いつもとの様子の違いに気づいたら、
「どうしたの?」「何かあったの?」「一人で抱え込まなくていいのよ」など、「話せるようなら話してみて」という態度が必要です。無理な聞き出しや原因・犯人捜しはタブーです。
そばにいて、見守っている。ただ、そばにいてあげる。ということが大切です。
本人にとって、つらい気持ちを外に出すこと自体がストレスの軽減になりますから、つらく悲しい気持ちや思いを受け止めてあげる。家族も、つらい思いをわかっているよということを伝え、「安心感」を与えることが、一番大切です。

◆体の調子への理解
・ 「うつ」で最も多い身体症状が「睡眠障害」です。
眠らないと仕事に差し支えると焦り、悶々と思い悩むことが多いようです。
日中に眠ってしまい、夜眠れない「昼夜逆転」。一日中眠っている「過眠」の人もいます。
・ 「便秘」や「下痢」の繰り返し
気持ちが落ち込んで、体を動かすことが少なくなる。食欲の低下、逆に過食で食生活が乱れ、排便のコントロールが難しくなります。
・ 「食欲不振」「味覚の変化」
食べ物を飲み込めなくなる。味がわからなくなる。「砂をかんでる感じ」。
逆にある特定のものだけ大量に食べてしまうこともあります。
「自分は悪いことをしたから食べられない」「お金がないから食べてはいけない」という「貧困妄想」や、「胃がなくなった」などの「心気妄想」という症状が出てくることもあります。

・「痛み」として現れる
頭痛・肩こり・腰痛・微熱・めまい・動悸・発汗。体がだるい、体が重くて起きられない。疲れやすい。などの身体症状が現れる場合もあります。
・「無意味な行動」の繰り返し
不安や焦りからじっとしていられず、絶えず足ぶみをする、皮膚をこする、服を引っ張るなどの無意味な行動を繰り返すことがあります。
・「動作・判断力が遅くなる」
動作が遅くなったり、話し出すのに時間がかかったりする。言っている言葉の意味が半分も読み取れない、新聞を読めば、「見出し」しか覚えられない、話し方や表情の変化が乏しくなったり、無口になって反応しなくなったりするなど。非常に悪化してしまうと「精神運動停止」の状態になることもあります。

◆具体的な家族の対応ポイント
●食欲がないときは
焦って無理に食べさせようとしても、食べることができない場合があります。
まず、「何を食べたいの」「何ならたべられそう」と聞いてみましょう。
希望がなければ、普段の様子から、
☆ 好物ややわらかくて飲み込みやすいもの…おかゆ・豆腐・スープ類、ゼリーやプリンなど
☆ さっぱりとしたもの…酢のもの・果物など
☆ 栄養価の高いもの…アイスクリーム・ゼリータイプの栄養補給食品など
☆ ビタミンB1・Cなど
☆ GABA・コーヒーなどが効果があるという方もいます(ちなみに、私はGABAやコーヒーを飲むとほっとして気分上昇します)
※ 水分補給だけは一日に1~2リットルほど飲んでもらうように注意しましょう。

●眠れないときは
まず、「眠れないんだね」「眠れないのはつらいね」と気持ちを一度受け止めましょう。
☆ 眠るためには、「ルーティーン」…一人ひとり知らずに眠る前に習慣になっていることをする。
例えば、眠る前に必ず歯磨きをする、トイレに行く、明日の着替えを準備するなど。
☆ 寝る前の「ルーティーン」のお手伝いをする、一緒にやるなども眠りのケアになります。
☆ 夜眠れるように、日中できるだけ起きているようにする
☆ 簡単な家事や散歩など可能な範囲で体を動かすことで適度な疲労感を感じられるようになります。
ただし、仕事が忙しく、ストレスが高い場合は、できるだけ休息を取る必要が大切になります。
☆ 眠くなってから布団に入る…眠気をもよおしてから横になるようにしたほうが眠りやすくなります

これらのことを、さりげなくアドバイスしてあげましょう。
☆入浴は少なくとも睡眠の一時間前に…体を温めると眠りやすくなりますが、入浴後は一時間ぐらい後のほうが眠りやすくなります。
☆ 睡眠薬の服用…どうしても眠れない場合は、睡眠薬を上手に利用して睡眠を確保する方法もあります。しかし、睡眠薬を飲んでも眠ることができない。常用になってきた。
不眠状態が長く続く場合は診察を必ず受けましょう。
睡眠薬は夜中の1時以降は絶対に飲まないようにしましょう。

●便秘や下痢の改善
うつ病になると、普段当たり前にできていたことができなくなってきます。
その一つが、食欲不振や過食に伴う排便コントロールです。
食事の量が減ると体の中の水分が極端に不足します。そのため便秘になりやすくなります。
便秘は毎日出ていないことに本人が気づかない場合があります。カレンダーに排便をメモする、一日1リットルから2リットルは水分補給するよう気を付けるなどの注意が必要です。
下痢になる場合もあります。さらに下痢をするといけないと考え水分を取ることを怖がり、便秘と下痢を繰り返すことがあります。下痢をした後は水分を補うようにします。水よりはぬるま湯のほうがよいです。すぐに飲まずに、口に含んでゆっくりと飲みます。
体温と同じぐらいになることで、胃腸の負担を減らすことができます。

●イライラして落ち着かないときは
本人が、「自分なんていなくなってもいい」など、自分に価値がないと感じたり、強い罪悪感に悩まされたりします。思考力や集中力が鈍って絶望感に陥り、イライラがつのって落ち着かなくなる場合があります。
イライラがひどく、感情のコントロールができない状態が続くときは、
・「いらいら」するのはなんでか
・どうすれば「いらいら」がおさまるか
について、一緒に考えてみましょう。
「すぐにできなくてもいい」
「あせらずに、時間をかけてやっていい」
と伝え、落ち着いて体を行くり休められるようにしてあげましょう。

◆ 考え方の変化を認める(自殺防止のために…)
思考力が鈍り、集中力が鈍って、決断することが難しくなります。
小さなことでも迷って決められなくなります。
仕事に支障をきたすことが多くなります。そうなると、罪悪感や無価値感が強くなり、
「死にたい」「生きる価値がない」「生きていると家族に迷惑がかかる」
など、自殺願望が出てきます。
はっきりと自覚している人もいれば、漠然と思う人もいます。
しかし、うつ病を患っている人のほとんどに自殺願望が生まれるようです。
うつ病になると考え方が偏ってしまい、普段なら、通常ならあり得ないような行動に突然出ることがあるのです。「自殺」を察知することはほとんどできないこともあります。

●理解を示しましょう
本人は一人で考えて何か行動したり、決断を下すことが難しくなっています。
混乱し、「今まで普通にできていたことができない」という、自信喪失。抑うつ気分が増してきます。
時には「しにたい」という気持ちが高まり、自殺を企てるところまで行ってしまいます。
どんなことが「きっかけ」になり、「追いつめて」しまうことになるのかについての正しい理解が必要です。

・無価値感・罪悪感にさいなまされないように、
「病気がよくなれば、元通りになれるよ」と、理解を示します。
・焦らせたり、無理をさせない。
できないことは、一緒に手伝い、ストレスを感じさせないようにかかわっていきます。
・「うつ状態にある」という認識を本人が持てるように、病気の理解を一緒に深めます。
・体の不調を感じているのであれば、受診して症状を軽くし、安心感を得られるようにします。
・自殺願望がわいてきたときは、必ず家族に伝えるように約束させます

●もののとらえ方の変化
静かで安心して休むことができる環境を整えてあげることも必要です。
気分の落ち込みから、刺激を好まなくなります。
・明るいところを嫌がります
・音に非常に敏感になり、テレビの音量が気になります
・外界との交流を持てなくなってきます
・暗く静かな部屋に引きこもりがちになります
・なんでも「うまくいったためしがない」などと、マイナス思考になります

●できるだけ一人にしない
基本的な日常生活動作でも最小限の行動にとどまり、他人との交流を好まなくなります。
部屋に引きこもりがちになります。
物音や「言葉」に非常に敏感になります。
できるだけ一人にしないように、部屋にこもることがないように、家族の目の行き届くところで生活できるように配慮しましょう。
本人の気持ちや、行動の意味を理解し、できていることを認めて、「昨日よりちょっと良くなったところ」を具体的に本人に伝えてあげましょう。
あなたが伝えた言葉が、その人の自信やプラスイメージになっていきます。
出口の見えない真っ暗なトンネルの中の小さな「ともしび」になります。
毎日の中で、小さな変化を認めて伝えていきましょう。

●「なまけているのでは?」は、タブーです。
・ 無理にさせようとするのは逆効果です。休息を促しましょう。
・ 声をかけるときには「がんばってね」などと励ましの言葉をかけないようにしましょう。
かえって本人を追いつめることになります。(本人は、「なまけているように」見えますが、頑張って必死にやろうとしても、できなくなっていくのが「うつ病」の症状です)

・ 追いつめてしまう言葉…自殺の引き金になってしまう言葉を覚えておきましょう。
「しっかりしてね」「くよくよしないで」「早く良くなってね」「どうしてこうなったの」「いつ治るの」「この先どうなるの」「なまけているんじゃない?」

実際に、「自律神経失調症」という診断書を上司に出したら、「しっかりしろ」という叱咤を受けた直後に自殺したという事件があります。
どの言葉が、心臓に杭を刺してしまうのかを正しく理解しておく必要があります。

●主婦
主婦の場合は、気分が落ち込んで、家事や育児が満足にできなくなることがあります。
女性は生理・妊娠・出産・出産直後、更年期など、ホルモンバランスが崩れたり、家の中での役割をめぐる問題でストレスが重なったりして生じる場合があります。
家事・育児・親の介護なども、女性がほとんど背負うという風潮があります。
妊娠出産時には、失職・休職しますから、育児をしながら仕事とどう両立していくかという悩みもあります。
解決をするためには、家族の理解と協力が欠かせません。
「なぜか、毎日がとてもつらそうだ」「いままでできていたことが、急にできなくなってきた」「体の病気かもしれないと内科を受診したが、原因がわからず症状が改善しない」
「うちにいるとごろごろして何もできなくなった」などの症状が2週間以上続いているようなら……、「思いやり」を示して、気を付けてあげてください。
「なんでこんなに洗濯がたまってるの」「洗い物は流しに貯めるなよ」という前に、「なんだか、つかれてるね。たまにはおれもやってみるか」と手を差し伸べるだけで、「守られている」「私のことをきづかってくれてる」と実感し、明日は笑顔が見られるかもしれませんよ。小さな気遣いが、一つ一つ集まって大きな安心感を育てていくのですから…。
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