内部EAP

☆ ☆内部EAPとは ☆ ☆

● EAPとは
 Employee Assistance Program 「従業員就業支援プログラム」の意味です。
 企業のメンタルヘルス(心の健康)、カウンセリング、休業者の復職支援、業務パフォーマンスの向上など、多岐にわたる従業員の支援活動のことです。

 もともとは、アメリカで「アルコールや薬物依存」を解決するプログラムとして、1940年に登場しました。現在では、急増するメンタル不全、自殺、それによって起こる企業の賠償責任などのリスクに対応するため、CSR「企業の社会的責任」としてメンタルヘルスに積極的に力を入れています。
 また、メンタル不全に至らないようにするために、EAP(従業員就業支援プログラム)の範囲は、従業員の生活へ一歩踏み込んだ、家庭・育児・介護問題、法律、フィナンシャルプランニングなど多岐にわたります。企業が従業員の生活を積極的にバックアップするという思想が大きく広がっています。
 日本でも過半数の企業で「心の病で悩む社員」が急増、働き盛りの30代でメンタル不全が顕著になるなど、メンタル不全による休職や辞職、時には訴訟事件に発展するという事例が年々増加しています。現在「メンタル不全に関する管理者の安全管理義務」に関して、法令が整備されてきています。従業員のメンタル面においても安全管理を積極的に行うことはCSR企業の社会的責任であるとする考え方が広がりつつあります。
 内部EAPにおいて解決が出来ない心理状態に陥ってしまった場合や、うつ病に陥ってしまった従業員の状態を客観的に見極め、早期治療が必要と判断された場合は、復職支援プログラムの参加や、或いは、うつ病専門医との連携を早期にはかり強化することで従業員の支援活動を行うようにしましょう。

● 法令順守の必要性
 
 メンタル不全によって辞職・自殺などになった場合、「職場管理者の安全配慮義務違反」であるとする判決が出ました。(1975年判決)
 「電通過労自殺事件」では、社員の自殺は、会社の責任となりました。うつ病の原因が過重労働にある。過重な労働を続ければ、健康上の障害がおこることは容易に予想できたのに、「業務量を減らす」「早く帰らせる」「医者に診せる」などの安全配慮がなされなかったということが、「安全配慮義務違反」とされました。
 つまり、管理者は、部下の健康・メンタル不全に関して「適切な労働時間管理などを行い、部下の健康を守るために、必要に応じて業務を軽減し、場合によっては医師の診断を勧めなければならない」のです。これらの法令の手順をミスしてしまうと、「違反」として罰せられます。管理者には、「メンタル不全が起きた時、同然管理者としてやっておかなければならない手順」を法令に沿って正確に学んでおく必要があります。

 「労働者の心の健康の保持増進のための指針(厚生労働省)」「事業者の健康保持増進設置の実施」労働安全衛生法69条により、心の健康の保持増進について、より企業側の努力義務が強調されました。
 
 (1) 対策については衛生委員会などにおいて調査審議を行うこと
 (2) 問題把握の上「心の健康づくり計画」を策定すること
 (3) 事業場内メンタルヘルス推進担当者を選任すること
 (4) メンタルヘルスケアの具体的な進め方

【実施に当たって4つのケアを効果的に推進すること】
 (1) メンタルヘルスケア推進のための教育研修・情報提供
 (2) 職場環境などの把握と改善
 (3) メンタルヘルス不調への気づきと対応
 (4) 職場復帰における支援

 ひとたび「労働者の自殺」が起きてしまえば、その企業は、損害賠償訴訟で社会的注目を集め、イメージダウンになり、大きな代償を払うことになります。また、災害補償保険給付の請求が増加するなど、メンタルヘルスの問題を企業側で積極的に取り組んでおかないと、「メンタルヘルスの問題が企業に与える影響」により、多大な損害を被るリスクを常に背負っているということになります。
 「法令順守」。メンタル不全に対応する企業の「管理者の安全管理義務」マニュアルがしっかりとしていないと、思わぬ代償を支払うことになるのです。
 
★ 厚生労働省
  職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策・心身両面にわたる健康づくり(THP)
  http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/index.html
★ 心の耳 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
  (企業者側の皆さんへ具体的にわかりやすい説明があります)
  http://kokoro.mhlw.go.jp/employer/
 
●「従業員就業支援プログラム」への積極的参加のすすめ

 企業のメンタルヘルス(心の健康)、カウンセリング、休業者の復職支援、業務パフォーマンスの向上など、従業員の支援活動に積極的に取り組む準備をしていきましょう。
 「早期に気づき、早期に適切な対応」をすることで、多大なリスクを回避できるだけではなく、職場内ストレスを減らすための企業努力は「就業者がのびのびと実力を発揮し、活力ある職場」を作ることに直結しています。
 「メンタル」の問題は発見しにくく、発覚した時にはすでに大きな問題になっていることが多いのが特徴です。「専門家」を交えて、企業の管理者および就業者一人ひとりの「メンタル」に関する専門的知識の教育と、職場環境改善のための具体策が必要になります。

 社会的不安が強い現在、「従業員のメンタル」に出費をためらうのはわかります。
 しかし、「コストやリスクをもっとも負わない方法」は、「専門家による適切な指導の下、ストレスを減らす環境に取り組んでいくこと」「専門家による、早期発見早期治療」がいつでも気軽に受けられる環境を整えていくこと。つまり「転ばぬ先の杖」が最も効果的なのです。
 メンタルヘルスの問題発症を未然に防止する「一次予防」に積極的・集中的に取り組むことで、結果として「大きな訴訟による損害のリスク・企業のイメージダウン」を回避することができるのです。
 「うちはそんな問題がある従業員はいない」そう思っている管理者こそ、最も「高いリスクを背負っている」管理者であることにまず気づく必要があります。
 メンタル不全はもはや、従業員一個人の性格や資質の問題ではないのです。
 一人メンタル不調の従業員が出たとします。その人が回復するまで3が月の休養を要します。補充人員もせず、今いる従業員がさらに負担を強いられます。するとまたその中から、メンタル不全が出ます。二人分のメンタル不全を補うために、従業員はさらなるストレスを抱えるでしょう。「就業状況」「就業環境」を整えないまま新しく雇った人もすぐに「メンタル不全」になったということがよくあります。
 また、管理者責任も問われます。一人のメンタル不全が生じることで、責任者が膨大な処理に追われ、管理者自身が「メンタル不全」になるケースもあります。
 「たった一人」のメンタル不全を生じてしまうことで、次々と芋づる式に企業ダメージは大きくなっていきます。
 「メンタル不全」が起きてからの対策では間に合いません。
 「メンタル不全を一人も出さないような職場環境」、「メンタル不全になったとしても専門家の指導の下、一日も早く診断治療を受けられる環境」。就業者全員が正しい知識と理解で、「メンタル不全になった部下も復職できるという環境」。専門家とともにこれらを整えていくため、一歩一歩努力していくことこそが、最も近道になります。
 「メンタル不全は起きて当たり前。メンタル不全になっても、万全のバックアップができるから大丈夫」そういえるようになってから初めて、「安全」なのです。

 いざ、メンタルヘルスに積極的に摂り組むと社の方針が決まったとします。
 「何から始めてよいか、わからない」
 というのが、正直なところです。
 厚生労働省の指針における「具体的な取り組み方」を参考に1つ1つ進めていきましょう。
 
★ 厚生労働省
  職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策・心身両面にわたる健康づくり(THP)
  http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/index.html

★ 心の耳 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
 (企業者側の皆さんへ具体的にわかりやすい説明があります)
  http://kokoro.mhlw.go.jp/employer/

★ 参考図書:「職場のメンタルヘルス実践ガイド」佐藤隆著:ダイヤモンド社\1,600-
  管理者になった方が、「メンタル不全」を抱える部下にどのように話しかけたらよいか。絶対に言ってはならないことなど、具体的に「治療」「復職」までどのように支援していったらよいかが、非常に詳しく書かれてあります。

 ★ ★ 内部EAP ★ ★

 アメリカの経済誌「フォーチューン」によると、誌で選んだ500社のうち、9割がサービスを受けているとされています。(1997年)日本でも、増大する社会不安、経済への不安から労働者へのストレスが高まる一方のため、EAPに対するニーズが高まってきました。
 
 EAPの形態には2種類あります
○ 内部EAP…企業内にEAPのスタッフが常駐して従業員の相談を受ける形態
○ 外部EAP…独立した外部のEAP会社が企業から業務委託を受けるアウトソーシング形態

 現在のメンタルヘルスへの取り組みの状況は、
○ 1000人以上の企業…9割が取り組んでいる
○ 600人以上の企業…6割が取り組んでいる
 しかし、全体での取り組みに関しては,23パーセント。
 つまり、600以下の日本のほとんどの中小企業においては、「メンタルヘルス」に関して、「専門医」を置くということは非常に困難であるということです。
 50人以上の事業者には「専門医」を選任する義務がありますから、「メンタル」な面においても「産業医」が兼任で担うといった所ではないでしょうか。
 
 では、中小企業の事業者は、どのようにして「メンタルヘルス」に関する専門医の知識を享受してゆけばよいでしょうか。
 その場合は、外部EAPプロバイダーでの検索をし、ご自分の企業に合った形で、現時点でほしいサービスを選び、産業医と連携していくというパターンが考えられます。
 詳しくは、当サイトの「外部EAP」にEAPプロバイダーに関する情報を載せてありますので、そちらをご参照ください。

○ アメリカでも外部EAPへ移行傾向
 内部EAPの恩恵を受けられるのは、現在の所、300人以上の規模の企業に限られているようです。また、その恩恵を受けられる企業では、メンタル面での「効果がある」と実感している企業は7割を超えているそうです。
 内部EAPの設置は中小企業には困難であるが、しかし、設置している大企業では7割という高い満足度を得ている。非常に職場環境のストレスフリーに有効であるという結果が出ています。
 
 アメリカでは、内部EAPの設置が盛んでしたが、最近では外部EAPに移行する動きがあるようです。その理由は、企業内部にあるよりも、サービスが社外にあるほうが、「プライバシーが固く守られる」「従業員が気軽に利用しやすい」という利点があるからです。
 特に、「うつ病」「精神病」「精神科医にかかること」に非常に抵抗がある国民性もあります。「できれば、だれにも知られたくない」「企業に知られたら、首になるかもしれない」。
 日本ではまだ、気軽に「精神科医に相談する」という、風土が出来上がっていません。
 
 アメリカのように、歯が痛くなったら歯医者に行くのと同じほど、気分が沈んでなかなか浮上しない「心の風邪」をひいたときに、「気軽にメンタルヘルス」を受けられる風土ができることが、最も大切なことかもしれません。
 日本では、6人に1人が、一生のうちに「うつ」になる可能性があるのだそうです。
 「生真面目」「勤勉」「仕事好き」。
 日本人の美徳と言われる気質がそのまま「うつ病」を生じてしまう気質でもあります。
 優秀な人材を失わないように、日本人が生きやすい風土を自らの手で作っていかなければなりません。
 まずは、自社の「風土」から。
 人材を「評価、切り捨て、使い捨て」の時代を終わらせ、「人材もリサイクル・リユース」。
 言葉が悪いかもしれませんが、へこたれてもすぐ復活できるサポート体制、仲間を応援し支えあう絆こそが、今最も大事なことかもしれません。