職場復帰までの期間(本人)

☆ ☆ 職場復帰までの期間(本人) ☆ ☆

● 治療までの過程を理解しましょう
 
 うつ病などの心の病の回復には、大変時間がかかります。
 骨折などの外傷と違い、回復が目に見えて分かりにくいのが一般的です。このため、本人や家屋はあせりや不安を持ちやすくなってしまいます。
 本人も、家族も、治療の経過や療養上の注意点をよく知っておくことが大切です。
 医師の指示に従い、生活・心の基礎工事からしっかり腰をすえて治療しましょう。
 「心の治療」に関しては、正確な知識を得、理解しながら治療していくことも大切です。
 休職して時間があれば、「心の治療」「セルフケア」などに関する情報収集や、勉強をしましょう。ネットにも多くの情報があふれています。こころの病に関する正確な情報を得ることで、自身の状態に気付きやすくなり、いざというときに不安や焦りを和らげることができるでしょう。知識を得ること事態にも、「認知行動療法」でいえば治療していることになるのです。自ら、自分の今までの行き方や、考え方はどうだったのか。なぜここまで自分を追い詰めてしまったのか。そのようなことについてしっかりと自分を見つめ、「自動思考」を解きほぐし、生き方・考え方を変えていきましょう。
 休職は、さなぎの時期です。じっと動かないように見えても、さなぎの中では、強く羽ばたく羽を得るために体を再構築しています。再び力強く羽ばたくために、休職の時間を利用し、心の治療・セルフケアなどの知識を得、生き方・考え方の再構築にじっくりと取り組みましょう。

【焦らず、調子を整えてから】
 仕事から離れると、「あの仕事の引継ぎはどうなったろうか…」など直前までやっていた仕事の進行が気になり、「休職したら、会社に自分の居場所がなくなるのではないか」という不安に陥り、強い焦りを感じることがあります。
 再び、「意欲に燃えて働く」ことができるようになるために、今は何よりも「体と心が回復すること」が一番です。
 「生活リズムが規則的になってきた」「気分のいいとき悪いときの変動が落ち着いてきた」「やる気がみなぎるようになってきた」など、医師と相談の上、しっかりと復職できるまで「心と体の回復が十分である」と診断されるまでは、膨大な時間をかけ、服薬、認知行動療法などで思考・ライフスタイルを変えるなどの、地道な努力が必要になります。
 規則的な生活を心がけ、調子が悪いときは、横になったりして「体と心をやすめる」してもいいのです。まだしっかりと回復していないのに、一時的な気分の高揚時に、むやみに人ごみに出かけたり、外出したりする。周囲に気を使うような集まりに出かけるなどは、逆に疲労を伴い、調子を崩してしまうきっかけになってしまいます。
 時間をかけてゆっくりと、生活・心の基礎工事からしっかりと再構築していく必要があります。心の病になった原因を根本から立て直さない限り「再発」を防ぐことはできません。まずは、「心の病の治療」に専念し、じっくりと治療しましょう。「認知行動療法」などにも取り組むことで、再発を防止することができるようになります。
 また、うつ病は不眠とも深く関わりがあります。不眠の症状もあれば、医師の指示に従い服薬し、積極的に治療しましょう。不眠治療も同時に行うことで確実に回復していきます。

 心の回復が進んできたら、「気分が回復してきたらやってみよう」に書かれてある項目に挑戦してみてください。生活リズムがしっかりと整ってきたら、自宅でできるリハビリに挑戦しましょう。
 「復職のための自宅でできるリハビリ」をしっかりやり、復職力できるまで回復が高まってきたら、実際に職場までの通勤の練習などもします。
 うつ病になると、電車などでの人ごみが怖く感じたり、気分が悪くなったりすることが少なくありません。人気の少ないときに、家族と一緒に出かけるところからはじめ、図書館へ行き、一定時間を過ごしてみるなど、徐々に「復職のためのリハビリ」を行います。
 「リワーク・プログラム」の活用もしてみるなど、段階的に、確実に回復していくため、情報を集め、施設・サービスを十分に活用しましょう。復職支援プログラムは病院やクリニックなどで行っていることが多く、うつ病の方たちの職場復帰の足掛かりとして多くの方が利用されています。
 実績があるところで、一歩一歩努力することで、復職の確立がぐんとアップします。

 休職期間が終わると、仕事への復帰が待っています。復職のタイミングは、自分の意思だけではなく、主治医・家族・会社としっかりと相談し、決めることが肝心です。
 回復の状態が不十分な場合、場合によっては会社で決められた休職期間を延長することができます。はじめに設定した休職期間で必ず復帰しようと考えず、あくまで回復の状況に合わせて調整していくことが必要です。
 回復が中途半端なまま、復職してしまうと、復職時にかかる過ストレスにより、「再発」の可能性が非常に高まります。一度復職に失敗してしまうと、さらに再復職が難しくなっていきます。そして、「休職→復職→休職→復職…」と、悪循環へとはまっていってしまいます。
 医師の許可も出て、「完全に回復させること」を目標に、地道な努力をしていきましょう。

心や生活の問題にしっかりと向き合い、一つ一つ問題を解決していくこと。入念な準備をし、復職のため心・体・環境を整えていくこと。「復職プログラム」にのっとって、「最初の復職を成功させること」が最もリスクが低く、最も確実です。

【うつ病は一進一退しながら徐々に回復していく】

 うつ病は、適切な薬物療法や認知行動療法、カウンセリングなどを受け、休養を取れば、時間こそかかりますが完全に回復することが可能です。

・治療開始後1~2週間 … 不眠や焦燥感が薄れ、少しずつ改善が見られます
・3~6ヶ月  … うつ病患者の3分の1に症状の回復が見られます

 特に、初めての発病で、しかも早期発見早期治療ができた場合は、若い人は特に比較的短時間で症状が改善する傾向が見られます。しかし、治療開始が遅れ、深刻な状態まで進んでいると回復までに1年以上かかることもあります。
 「気分がいい日」「かなり落ち込みが激しい日」と、症状は一進一退を繰り返しながら、徐々に良くなっていきます。患者にとって見ると「あまり変わらないようだ」「いつまでたっても回復していない」と感じるようですが、家族から見ると、少しずつではありますが、確実に回復傾向に向かっていることが分かると思います。
 「復職がかない、100%以前のようになった」というところまでいかないと、家族や会社への負い目もあり、本人には回復を実感することができません。
 ですから、「日々の進歩」を具体的に目に見えるようにすることが大切です。
 共に暮らしている家族から、「以前より少しでも改善した」と思うことを取り上げて、本人に伝えてもらいましょう。

『生活記録』をつけることで、具体的に自分の状況を把握することができます。後で詳しくご説明します。足元の目標を一段一段アップしていくことを確認しながら日々を過ごしましょう。
 希望を失わず、一進一退でも必ず回復するという希望と信念を持つことが大切です。
 
【回復の過程で躁状態になることもあります】

 症状は波のように上下しながら徐々に回復に向かっていきます。
 ずっと気分が「落ち込んで、どんよりしている」感じから、「気分が良くて朝日をさわやかに感じる」日が出てきたりします。少しずつアップしてきたと思うと、一週間前の状態にドーンと落ち込んだりすることもあります。
 場合によっては、気分が良い状態を通り越して、「軽い躁状態」になることもあります。
 普段より、たくさんしゃべったり、怒りやすくなったりもします。「躁状態」が強く見られる場合には、それを押さえ、「気分を安定させる」ために、『気分安定薬』を使用する場合もあります。
 本人は自分の状態をあまり客観的に捉えることができないことがあります。家族からも主治医に患者の状態をよく説明し、相談してください。
 
【気分の波は次第に小さくなってきます】
 気分の波は次第に穏やかになり、安定するようになってきます。でも、ちょっとしたきっかけでまた以前の「悪い状態」に戻ってしまうことがあります。そのため、本人や家族は「このままよくならないのではないか…?」という不安が付きまといます。
 そのようなときには、以前より良くなった点、「睡眠・食事・気分・運動・外出」など、さまざまな観点で少しずつ『生活記録』をつけていると、希望を持ちながら回復を待つことができます。本人だけでなく、家族に記録していてもらうと、本人では気付くことができなかった点についても、お互いに認め合い、励ましあうことができます。家族にとっても、あなたの回復の状況を共に感じ、喜びを分け合うことができます。
 
【一人ひとり回復の過程は違います】
 一般的な治療や回復についての経過は情報として得られますが、実際のところは、一人ひとり回復の道のりは異なります。
 
「必ずしも、右肩上がりの直線的な直り方をするとはかぎらない。山あり谷ありで、徐々に回復していく」
「段階的に直ることもあれば、いつまでも上昇しないまま、長い平行線状態が続き、急に良くなる人もある」
「心がずっと、暗く落ち込みつらい状態が続いていたとしても、体のほうは回復を続けている。体が元気になってくれば、心にも力がみなぎってくる」
「良くなった状態が、以前の悪い状態に戻ったとしても、本当にひどかった状態に戻ることは少ない」
「最初のころから比べると、睡眠・食事・できることに変化が訪れている(気付かないだけ)」

【やる気がもどるには時間がかかる】
 うつ病の症状はさまざまです。
 回復過程で比較的早く改善する症状と、なかなかなくならない症状があります。
 人それぞれにうつの症状は異なりますから、回復過程も人によって違います。

① いらいらや不安感が薄らいできます
② うつうつとした気分が徐々に改善していきます
③ 新聞やテレビなど、日常生活への興味関心が戻ってきます
④ ちょっとした家事や外出をする気になります
⑤ 楽しいと感じることが多くなり、遊べるようになります

 いらいらや抑うつなどの気分的な改善は早めに現れてきます。
 「意欲・集中力」は後からゆっくりと改善することが多く、「気分」は良くなってきたのに、「やる気」がおきない自分に焦りと不安を感じることもあります。
 すべてが一度に良くなるわけではありません。「後から回復してくる症状もある」ことを知っておき、「なかなかよくなってくれない症状」にイラつき不安を感じるよりも、「以前より良くなり、できるようになってきたこと」をたくさん見つけ、具体的な目標を持ち、「回復への希望」を失わないようにすることが大切です。「自分をきちんと認めてあげること」で希望が見えてきます。

● 気分がある程度安定してきたらやってみよう

 『生活リズムがある程度規則的になってきた』ということが、社会的な復帰ができるかどうかを左右します。
 特に、入眠時間・起床時間の安定は、社会復帰後の生活に支障がないかどうかの重要なポイントになってきます。「会社に出勤するようになれば、自然に整ってくるだろう」という考えは好ましくありません。
 社会復帰直後は、環境に適応するために非常に神経を使い、多大なストレスが襲います。
 体内リズムが乱れている状態で社会復帰をしてしまうと、「復帰直後の心のストレス」に耐え切れず、再発の可能性が高まってしまいます。
 ですから、「生活リズムを整えること」がポイントです。回復期になってきたら、出社時間や投稿時間、周囲の家族の生活時間にできるだけ合わせられるようにしていきましょう。
 家族も理解し、本人と共に規則正しい生活をしていくことが助けになります。

① 朝の起床時間を決めましょう
 生活リズムを整える上で、朝の起床時間を軸に生活時間を決めていくと体のリズムが整いやすいといいます。朝に太陽光などを十分に浴びることで、体内リズムをリセットすることができます。
 夜なかなか眠れない日は、朝遅く起床しがちですが、ある程度時間を決めておきる習慣が付いてくると、夜の就寝時間を安定させることができます。
 ですが、「うつ病の症状」として、朝に気分が悪く、夕方になるにしたがって調子が良くなってきますから、無理をすることは好ましくありません。うつの症状が回復するにしたがって、自然に朝起きられるようになってきます。逆に、朝起きられるようになれば、うつの症状が回復してきたことになります。医師と相談しながら、進めるようにしましょう。

② 運動を取り入れ、体力をつけましょう
 やや状態の良い日には、外を散歩するなど、軽い運動を始めることも、規則正しい生活リズムを作るうえで有効です。
 ただし、体調に合わせて無理をしないことです。「気分が良くできるときに運動すればいい」ぐらいのきもちで、はじめるほうが長続きします。
 その後、徐々に生活リズムを整え、復帰後の生活リズムに近づくように、自宅でのリハビリを行うことで、「社会復帰がスムーズ」に行くための大きな助けとなります。
 「自宅リハビリ」は、朝、出社時間・登校時間などに合わせて家を出て、電車に乗って会社や学校近くの図書館などへ行き、読書などをして夕方に戻るなどの練習をする。少しずつ外出時間を延ばすことで、自信を持つことができます。
 一気に目標の生活程度を試すのではなく、まず2時間から初めて、徐々に時間を延ばす。静かな場所から、人がたくさんいる場所へ挑戦していく。運動量を増やしていく。など、段階的に無理をしていない範囲で成功体験を増やしていくことが大切です。
 少しずつ家事をすることもとてもいいですね。無理なく好きなことからはじめていき、自分からやりたいと感じることを伸張していくと、より効果が上がります。
 「お気に入りの喫茶店にコーヒーを飲みに行きたい」でもいいですね。自分の好きなものにつなげることで「意欲」を引き出し、継続することが可能になります。
 外出する回数や時間が多くなってきたら、「リワーク・プログラム」の利用を考えましょう。復職を支援するために、出勤時間と同じ時間を公共施設などに行き、「セルフケア」の方法などについても学びながら、段階的に課題を儲け、徐々に復職するための「心と体の体力」を付けていくことができます。スキルアップしていく中で、自分でも復職に対する自信を持つことができますし、仲間と共に苦労を分かち合うこともできるでしょう。
 お住まいの都道府県でどのような「リワーク・プログラム」を受けることができるのか、ネットなどで調べて利用してみましょう。
(お住まいの地域によって、利用できる施設やサービスが異なります。ホームページ「心の耳」や市区町村の健康センター、専門医、ソーシャルワーカーなどにお問い合わせください。)

③ 生活記録をつけましょう
 先ほども述べましたが、長い休職時間、「希望を持って挑戦する毎日」を送るためにも、「生活記録」をつけることが励みになります。いろんな観点で、記録をつけることで、少しずつ回復していることを自分で確認することができます。また、次に頑張ってみたい目標を立てる場合にも大変役に立ちます。
 「復職・回復」という頂上を目指すには、まず、目の前の一歩一歩を見ることが大切です。大まかで良いので「現状の生活リズムを把握」「回復の兆候の発見」のためにつけましょう。回復にしたがって、具体的な目標とか達成できた行動などを記録できるようになると思います。

 【生活記録の記載事項(本人)】
□ 起床時間・就寝時間
□ 日中にした活動
□ 気分の状態
□ 食事・服薬の記録
□ 外出・運動などの記録
□ 思ったことなど一言

【家族がチェックしておくと良い生活記録】
□ 食事の量
□ 睡眠
□ 薬の副作用
□ 服薬状態
□ 生活の様子(できるようになったことを具体的に)
□ 困ってしまった場面など
□ 気分の浮き沈みの様子

「生活記録」によって、「生活リズムが整ってきたかどうか」を把握することができます。
 本人でつけられればいいのですが、困難な時期には家族がチェックしてあげると良いですね。症状が重いときは、排便の状況もチェックすると良いかもしれません。水分補給・食事ができない、運動不足が重なると、思い便秘になってしまうこともあります。
 医師に相談する際にも役に立ちます。本人だけでなく家族も健康状態を把握しておくことが大切です。特に薬の効能や副作用などについて知っておくことも大切です。症状が重い場合は、薬の管理を家族にしてもらうこともあります。
 休日・夜間など、本人にはどうしようもないほど具合が悪くなってしまったときの対応、服薬の仕方についても、しっかりと医師にきいて指示をもらっておくことが大切です。

【小さくても良い変化なら評価をしましょう】
 生活記録を元に、家族や主治医が、本人と共に現状の生活リズムの問題点を話し合い、改善できてきていることを認め合うことは、患者にとって「意識づけ」「すぐにとりくめそうな目標を持つ」「成功体験を得る」ことになります。
 小さくとも、良い変化なら評価することが大切です。自信や生きる希望に繋がります。

 「これまで11時にしかおきられなかったのに、10時におきられるようになってきた」
 「週に1日しか外出できなかったのが、2日外出できるようになってきた」
 「気分の良い時間が少しずつ増えてきた」

 これらの「成功体験」をもとに、無理なく挑戦できる「具体的な目標を立てて挑戦する」事もできます。少し悪い状況に戻ってしまっても、「回復期は山あり谷あり」であることを念頭に置き、「ちょっと良くなるまで目標を下げる」などの柔軟な気持ちでゆったり取り組むことが大切です。

【回復を焦る気持ちが強すぎると再発する】
 スムーズな社会復帰には、復帰後の環境や周囲の理解が大きく影響します。ですが、本人がある程度、社会復帰に対して「生活リズムが整っている」などの「自信」を持っているかどうかも重要です。
 かつての自分ではなく、「今の自分サイズ」で、自分のできることを判断することも大切です。無理をし、焦ってしまうことで、せっかく復帰しても、再発することが多く見られます。
 「焦り」を「やる気」と混同せず、現実の状態を適切に判断することが大切です。
 社会復帰の時期は、主治医や家族から見た患者の客観的な状態を考慮して、復帰後の職場環境や、出勤状態、「復職プログラム」がどのようになっているかを十分に話し合いながら、意見をすり合わせていくことが重要です。
 復職のタイミングは、自分の意思だけではなく、主治医・家族・会社としっかりと相談し、決めることが肝心です。
 回復の状態が不十分な場合、場合によっては会社で決められた休職期間を延長することができます。はじめに設定した休職期間で必ず復帰しようと考えず、あくまで回復の状況に合わせて調整していくことが必要です。

【復職前に環境の負荷を軽減しましょう】
 社会復帰する前に、職場環境や家庭、友人、同僚等の環境をどのように調整するかを周囲の人とよく話し合い、環境を整えてから復職することが大切です。
 うつ病からの回復途中でやむを得ず復職する場合は、以前の就業状態よりもやや負荷を減らし、「復職プログラム」をしっかり練ってもらってからにしましょう。会社のほうで「復職プログラム」を整備できないときは、復職までの期間を延長することも考えましょう。復職と同時に以前と同じ時間・仕事内容をこなすことはできません。再発の引き金になりかねません。「復職プログラム」がない場合は、回復度を高める必要があります。
(例)
・ いきなり出勤ではなく、手続きなどで何度か会社に足を運んでもらう
・ 事前に自分の病状について回復の状況などについて報告する
・ 医師から「復職可能の診断書」を作成してもらい、会社に提出する
・ 医師の復職上の注意などを受け、それをもとに会社で「復職プログラム」を作成
・ 「試し出勤」で、何回か会社近くまで出勤し、一定の時間を過ごしてから自宅に帰る
・ 出勤時間は初め、10時から4時までの短時間出勤からはじめる
・ 一週間ごとに、徐々に勤務時間を増やしていく
・ 仕事は始めの1~2ヶ月は、事務的なマイペースでできる仕事からはじめる
・ 肉体労働や出張、夜勤などの変則勤務などをしっかり回復するまで抑える(3ヶ月ごろから開始)
・ 以前の部署に配置することが望ましいが、配置転換や昇格降格が原因で「発病」した場合は、配置転換なども考慮する
 
 「復職直後」にかかる多大なストレスを軽減することで、「スムーズな社会復帰」が可能になります。医師の判断も取り入れて、入念な準備をしましょう。

【自殺の予防を家族で考えておく】
 回復し、復職できる状態になったころが最も自殺する可能性が高まる時期であるという統計があります。回復期は山あり谷ありです。突然重い症状にドーンと戻ってしまうこともあります。「期待・不安」の中で感情が揺れ動きます。さらに「復職直後」には、過度なストレスが一気にかかります。「復職を成功させたい」「早く職場環境に慣れたい」「できる自分に戻ったことをアピールしたい」さまざまな思いが高まり、つい無理をしてしまいます。仕事を優先し、治療を中断してしまうことも「再発」の引き金になってしまいます。復職後、6ヶ月間は最低でもしっかりと服薬し、治療しましょう。
 自分・家族・医師と協力しあい、「自殺したくなったときどうやって止めるか」について話し合っておくことが必要です。「助けて」といえる環境を作っておくことが大切です。
 一人でいるときに「死にたい」という気持ちが高まってきたらどうするか具体的に対処方法を話し合っておきましょう。電話のある場所に「緊急相談窓口」の電話番号を書いておくのもいいです。家族を悲しませないためにも、しっかりと対策を練っておきましょう。

 自殺をはかった人の80パーセントが、何らかの形で自殺願望を周囲に話していることがあります。50~60%が家族、35パーセントが友人、18パーセントが医師だそうです。

□ 「死にたい」「生きている意味がない」「死んだほうが家族のためになる」と強く感じてしまうとき
□ 無口になり、部屋に引きこもる時間が長くなってきたとき
□ 大切なものを整理し始めようとしたとき
□ 包丁や紐などを捜してしまいたくなったとき

 こんな気持ちが高まってきてしまったら、家族に助けを求めましょう。
できるだけ早めに医師に相談し、自殺願望が強いときは入院することも考えましょう。また、一人ぼっちにならないよう、寝るときも誰かと一緒に寝るようにしましょう。外出時も誰かと一緒に行ってもらいましょう。だれかに勇気を出して「助けて」ということが大事です。生きている限りやり直しは何度でもできます。「うまくいきそうなときほど、自殺願望が高まることがある」と知っておきましょう。復職に対する不安感が非常に強いときは、勇気を持って復職までの期間を延長しましょう。まずは、しっかりと回復することが大切です。

● 服薬を止めたり中断したりすると再発しやすくなります

 症状が良くなると、「もう大丈夫」と治療を止めてしまうことがあります。
 症状が治まって2~3ヶ月が最も再発しやすいため、治療を続けて再発を防ぐ必要があります。
 特にも、『最初に不調を感じた症状』と似たような状況で再発しやすいので、『自分が始めに調子悪いと感じたときの状況・自分の考え方』を振り返り、「再発」の兆候に自分で気つけるようにします。
 その時の状況・自分の考え方を振り返り、自動思考などを振り返り、「行動療法」などで、
 ライフスタイルを根本から見直し、一つ一つ解決していくことで、再発を予防することができます。
 休職期間は、復活のために心の力と栄養を蓄える期間ですから、あせらずいろいろな知識や技術を駆使して、一つ一つ家族や同僚たちと共に進んでいきましょう。
 「再発」したからといって、落胆せず、「回復期は振り子のように良くなったり悪くなったりを繰り返すもの」です。むしろ、「再発の可能性に自分で気付き、治療を再開できる自分」になれたと考えましょう。
 「気付き」と「早期治療」を繰り返すことで、以前のあなたよりも確実に強くなってきているはずです。

● 服薬と環境調整で再発に備えましょう

【少なくとも6ヶ月は警戒が必要】
 うつ病は、治ることが多い病気ですが、再発しやすい病気でもあります。
 症状が改善してから2~3ヶ月が最も再発しやすい時期であり、また、4~5ヶ月以内に抗うつ薬を中止した場合の再発率は、50パーセントから70パーセントもあります。
 「状態が良くなってきた」「気分が爽快な時間が多くなってきた」「治ってきたかもしれない」という予兆を感じ、自信が出てきた時期にこそ、医師の指示に基づき、慎重に治療を継続しなければなりません。
 良くなると薬を止めてしまいたくなるというのは、「薬を飲み続けると、体に良くないのではないか」「薬を長期間飲んでいることで、止められなくなるのでは…」というような不安を感じる方が多いためのようです。
 もちろん、薬を飲まないに越したことはないのですが、「うつ病は再発しやすい病である」ということを念頭におき、医師の指示にきっちりと従うことが重要です。
 なぜならば、症状が改善してから約6ヶ月間、抗うつ治療薬を継続することにより、再発率が0~20%になるからです。
 症状が良くなった後、少なくとも焼く半年間、抗うつ薬を飲み続けることにより、しっかりと再発を予防することができます。

 ですから、症状が良くなり、復職もすることができたと安心し、「服薬を中断」することなく、しっかりと通院を継続し、再発予防のために少なくとも6ヶ月間は、主治医と共に相談しながら抗うつ薬の内服を続けることが「再発防止の要」となります。
 家族も企業もこの点を十分に理解して、本人が安心して通院や服薬を続けることができるようにサポートしていただきたいと思います。

○ 薬は急に止めない
 症状が改善し、安定している場合には、6ヶ月ほどで徐々に薬の量を減らしていきます。最終的には止めるのですが、「薬の減らし方」にも、量と期間について医師の指示にしっかりと従うことが必要です。
 なぜならば、抗うつ薬や急に飲むのを止めると、それをきっかけに状態の再発が起こったり、抗うつ薬を止めたことによる体の不調を生じたりすることがあるからです。
 薬を止めるときには、状態の変化をよく観察しながら、2週間~1ヶ月ごとに段階的に薬の量を減らしていきます。減量により、状態が悪くなったら、またもとの量に戻したりしながら、徐々に時間をかけて減量していくことが大切です。

 焦らず、いろんな方に助けてもらいながら、未来を信じ、一歩一歩確実に歩んでください。
 明るい未来が開けますよう、心よりお祈り申し上げます。