ストレス対策(家族)

☆ ☆ ストレス対策(家族) ☆ ☆

 家族がうつ病かもしれないと気づいたとき、あるいはうつ病だと病院で診断を告げられたとき、多くの方は「まさか私の家族が……」という思いを抱くことでしょう。本人も同じ気持ちを持つのではないかと思います。
 しかし、うつ病は決して特別な病気ではありません。年齢にかかわらず、誰でも起こりうる病気なのです。
 どの程度の人がかかる病気かというと、日本人の一生の間にうつ病にかかる人の割合は、男性7~12%、女性20~25%と推計されています。つまり、「日本人の6人から7人に1人は、一生の間に一度はうつ病にかかる」ほどの割合なのです。
 ただ、「うつ病」は、心臓病や、がん等の病気と違って、検査をすればはっきりと異常がデータとして示されるといった物差しがありません。また、本人はとてもつらい思いをしていますが、多少なりとも、家事や仕事をすることができ、日常生活をすることができます。そのため、はたから見ていると「それほどつらそうに見えない」ことが少なくありません。
 しかし、その多少なりともできている日常行動は、本人が「大変な無理を重ねつらい思いをしながら何とかこなしている」だけなのです。患者は周囲に心配をかけまいとし、もっとも身近な家族にさえ、必死に不調を隠しているため、気づかれにくいということもあります。
 うつ病患者の特徴として、行動が遅くなったり、何もやる気がなさそうに見えたりすることがありますが、決して怠けているわけではなく、「したくても、うまくできない、手早くできない」状態なのです。どんなのもどかしく、つらい思いをしているのでしょうか。

――― 私はもともと、とても明るい性格でした。社交的で友人も多い方でした。会社では率先して仕事を引き受け、前向きに会社のために働いていました。自分に頼まれた仕事は自分が見込まれたのだから断ってはいけない、という考えでしたので、常に忙しい状態ではありましたが、満足感もありました。
 ところが、そのように過ごしていたある時期から、徐々に自分の様子が変わってきました。
・夜眠っていても、途中で目が覚めるようになった
・夜中に起きると、眠ることができなくなった
・朝起きたとき、ぼうっとして疲れがとれなくなってきた
・朝の新聞(個人的な習慣)がおっくうでめんどくさくなってきた
・体重が3ヶ月で5キロも減った
・めまい・頭痛が増えてきた
 単なる疲れだろうと思って、あまり気にしませんでした。
 しかし、ある日、
・仕事中に急に強い不安を感じました
期限がある仕事ですが、以前の自分なら難なくこなせたはずなのに、
・集中できない
・焦りだけがつのる
・「自分はなんてだめなんだ……」「こんな仕事もできないなんて」自分を責める
・一睡もできず、翌朝を迎える
  このようなことがあってから、
・朝、会社に行くのが、「おっくう」になる
・出社しても仕事が手に着かず、集中できない
・午後になるとやっと集中できる
・遅れを取り戻そうと、残業が増え、帰りが遅くなる毎日
  悪循環に陥っていると気づきながらも、必死にがんばっていました。
 周囲の反応は、
「まだ仕事ができていない」と叱られ、家族からは「帰りが遅いし、家族サービスがない」といわれ、会社や家族に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
 まるで暗く長いトンネルに入ってしまい、先の明かりが見えないような気持ちでした。―――
 この方は、同僚が「うつ病でないかな。病院に行った方がいい」というすすめに従って、専門医にかかり、無事回復しました。

 とてもつらい苦痛を伴う「うつ病」ですが、患者の45%は医療機関にかかっていない、また、薬の治療を受けている患者は、15%にすぎません。
 その背景には、「うつ病」等のメンタルな問題に関して、本人や家族、社会の誤解は偏見があるために受診になかなか踏み切れないという事があります。
 家族が「ひょっとして」と、気づいたら、専門医の受診をおすすめします。
 うつ病は、多くが治療によって治る病気です。早期発見・早期治療が大切です。重傷になればなるほど、治療が難しくなる病気でもあります。

◆ うつ病などの治療は、家族の対応が「かぎ」です

 うつ病は、他の病気と同じように、治療によって多くが治りますが、回復には大変時間がかかり、何度も気分の状態に波が出て、良くなったり悪くなったりします。本人も「本当に治るのだろうか」「また働けるようになるだろうか」と不安になり、絶望感で真っ暗になることもあります。
 ですから、そんなときに支えになるのが家族や友人の存在です。
 家族の理解と、暖かい一言。暖まる食事。そっと見守ってくれているという安心感が、患者にとって一番の心の大きな支えになります。
 家族にお願いしたい対応は、少しでも良い変化を見つけたら、それを患者に伝えてあげてほしいということです。
 うつ病等の患者は、「悲観的で、自分を責めています」ので、とにかく悪いことばかりに目がいきます。ですから、少しでも以前よりいいところ(できるだけ事実をそのまま)を話し、伝えてあげることが、患者の自信や前向きになる力になります。

 逆に、「励ます」「あせらせるような言動」をしますと、「怠けているように見えても」本人は、心の中で葛藤し、十分に頑張り、自分を責め続けているため、逆効果になりかねません。ですから、専門医に良く聞いて、「してはいけないこと」と「してあげたほうがいいこと」をしっかりと学び、患者のつらさによりそって、良くなった部分を1つ1つともに見つけながら、時間をかけて見守っていく姿勢―――これが家族に一番期待されていることです。

 (安心できる場をつくる)
 他の病気と同じように、心の不調時に一番大事なことは「安心して体を休める」ということです。言葉だけでなく、さりげない気遣いや、見守ってくれている人がいるという安心感を与えることが、なによりも支えになります。
 家族でゆっくり憩いの時間をとること、ゆっくりと回復を信じて見守ること、そのことが病気の悪化を防ぎ、回復力を促すことになります。

 (話を傾聴する)
 まず、本人の話にゆっくり「耳をかたむけて」みましょう。
 大事なことは、決して「そんなことはない」「わたしはこう思う」という「強い」意見を言ってはいけないことです。
 本人が言いたいことは何なのかを「理解しよう」としていることを態度で伝えることです。「そうなんだ」と本人の気持ちに寄り添って、共感する事が大切です。
本人が「話したくなったらでいいよ」という気持ちでそっと見守っている、というスタンスが、本人に安心感を与えます。

 (病院を勧めてみましょう)
 本人の様子が違ってきてから、3週間以上続くようでしたら、病院に行くことを勧めてみましょう。
 移動・昇進・降格、身近な人の死、喪失体験などの環境の変化なら3ヶ月ぐらい。長い目で変化を見守ります。ただし、ストレス度が非常に高い状態が3週間たっても変わらない場合は、専門医に相談することも必要な場合があります。
 「うつ病なじゃないの」など、はっきり言わず、「疲れが抜けない状態がずっと続いているから心配」と言う感じで、初めての受診は付き添っていけるといいと思います。
  はじめは内科を受診し、異常がないようなら「心も疲れているようだから、試しに受診してみましょう」とさりげなく誘い、一緒に付き添ってあげる方法もあります。
 どうしても本人が拒絶する場合は、各市町村の「保健センター」ならば、匿名で家族でも相談できます。相談してから、ご本人と一緒に考える方法もあります。
 Webでもいろいろと学ぶことができます。

 (専門医療機関)
 厚生労働省 こころの耳 働く人のメンタルヘルスポータルサイト
 ◆http://kokoro.mhlw.go.jp/
 「ご家族のかたへ」のタブをクリックすると、詳しく載っています。
 精神科医の紹介が、ワンクリックで検索できる場所もあります。
 実際に「うつ病」から回復した人の体験談、メンタルヘルスの情報、治療の方法等、必要なことがほとんど調べることができます。復職支援についても情報があります。

(できれば、公にしたくないとき相談する場所はほかにありますか?)
・上記サイト「こころの耳」に、電話で相談できる専門医の紹介、メールで相談できる、
いつでもオンラインで相談できる等の紹介もあります。
まずは、サイトを見て、クリックしてみてください。

・本人の職場の産業医・保健士・臨床心理士などは、法律により、「守秘義務」があります。
「職務上知り得た個人情報などの秘密を外にもらしてはいけない」義務があります。ですから、相談してみてください。50人以上の事業所には、専門の産業医・保健士等の選任義務がありますので、ご相談できます。職場の専門医にご相談する場合は、まず、本人と話し合って了解の上で相談することが大切です。
・かかりつけのお医者さんに相談し、状況に応じて専門医を紹介していただける場合もあります。

………「自殺」をストップさせるために、気をつけておいた方がいいこと(例)…………

 (注意:してはいけないこと)
◆原因探しをしない
「なんでこうなったの」「自分たちが何か悪かったのか」「会社の誰が原因か」など、犯人探し、原因探しをしないことが大切です。家族としては、心配のあまり、気になって仕方がないかもしれません。ですが、本人にねほりはほり聞き出すことは絶対にいけません。
 「なぜこうなったのか」よりも、「今なにをしてあげることが回復を助けるのか」「今できること」を中心に考えましょう。
 家族の生活の中で、本人がストレスを感じることがあれば、それを取り除いておくということが必要です。

◆励まさない
 すでにがんばりすぎてぼろぼろの状態になっているわけですから、「がんばろう」は禁句です。「怠けているようにしか見えない」状態であっても、本人は心の中で葛藤し、がんばっている最中なのです。ですから、励ますことで「もうこれ以上がんばれない」「何で私はできないのだ」、「周りの人に迷惑をかけて、情けない」と、自分を責めたり、落胆する事になってしまいます。症状の悪化を手助けしてしまいます。
 「今日は○○だったね」と、昨日よりちょっと良くなったことを、「事実」を話しましょう。それが自分を認め、自信を取り戻す力になります。焦らず一歩ずつ……です。

◆無理に特別なことをしようとしない
 気分を明るくさせたいと、旅行や外出、友達を呼んで……など、思うこともあるかもしれません。ですが、「心のエネルギーが消耗」している状態では、何気ない一言で悪化したり、自分を責める、自信を喪失する等、さらに疲労させ、悪化させることがあります。
 家族の気遣いに無理に自分を合わせようとして、できず、自殺のリスクを高めることになる可能性があるということを理解しておく必要があります。

◆大きな決断は先延ばし
 「職場でみんなに迷惑をかけている」からと、「退職・離職」について口にする場合があります。ですが、「今はまず、健康に留意することを最優先しましょう。もう少し良くなってから一緒に考えましょう」と先延ばしにしましょう。
 「復職支援」の環境も整い始めていますから、復職の可能性もあります。「復職への希望」も大事な回復のためのエッセンスになります。

(おすすめ)(*^_^*)
◆受診に付き添うこと
 専門医を初めて受診するときと、毎回一緒の必要はありませんが、時々一緒に主治医の話を聞くことで、本人のどんな点について気をつけてサポートしていったらいいかということが分かる事があります。また、主治医に面会しておくことで、本人が具合悪くてどうしても受診できないときに代理で受診することができます。
 主治医にとっても、家での患者の様子が分かり、その情報が治療へ役立つこともあります。
 ただ、あくまでも「付き添い」ですので、本人に変わってあまりしゃべりすぎたりせず、主治医と本人のつながりを作るということも大事にしましょう。

◆次のような症状が複数重なってくる場合、「自殺」の危険度が非常に高まっています。
 早急に専門医を受診しましょう。
 一つなら耐えられていても、二つ三つと重複してくると、高いストレスになり、何かのきっかけで「自殺」の危険が高まります。

□ うつ病の症状に気をつける
□ 原因不明の身体の不調が長引く
□ 酒・たばこの量が増す
□ 安全・健康が保てない
□ 仕事の負担が急に増えた・大きな失敗をした・失職した
□ 職場や家庭でサポートが得られない
□ 本人にとって価値がある者を失う
□ 重傷の身体の病気にかかる
□ 自殺を口にする
□ 自殺未遂に及ぶ

◆本人にいきなり病院に行くことを勧めるのはどうか……という場合は

 本人を追いつめたり、職場の立場を失うようなことになっては……、でも、いろいろと「うつ病」が疑わしい。そんなときは、各地の「保健センター」へ相談してみることをおすすめします。
 心のケアについて、相談可能な公的機関としては、

○ 都道府県「精神保健福祉センター」
○ 各市町村の「保健センター」
○ 会社でも看護師や保健師、産業医、が窓口を設けている場合もある

 「精神保健福祉センター」や「保健センター」では、「受診を迷っている」とか「治療を受けているが経過が思わしくない」「今の病院でいいのか」「他にどんなところに相談したらよいか」など、これらの悩みを匿名で、相談可能です。
 問題の内容によっては、精神科医にも相談ができます。
 また、本人がどうしても外出できない状態の場合、訪問する事も行ってくれるようです。ただし、訪問まで時間がかかる場合があるようです。

 相談の順序があります。
市町村の「保健センター」→保健所の「保健センター」
 このようになっています。まずは、市町村の「保健センター」からご相談してください。

◆メールにて相談する
 Webで、専門医にメールで相談するサービスもあります。
 実際に、効果があり、会社や家族、あるいは、本人に知られず、相談したいという方に良いかもしれません。
 電話でオンラインで専門医に相談できる所もありますので、ストレスチェックが数多く当てはまる方は、試してみてはいかがでしょうか。
◆こころの耳 厚生労働省
http://kokoro.mhlw.go.jp/hatarakukata/
◆healthクリック
http://www.health.ne.jp/library/0700-3-2.html
GABAなど、うつ病の症状にいい食べ物の紹介もあります。